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教育の問題はここ数年、特に多くなっている気がします。どうすれば子どもの教育環境は良くなるのでしょうか?
確かに山積みです。しかも結構難解な問題ばかり…。日本の教育はどうなってしまうのでしょうか。
正直、言いにくいこともありますが、多くの人々に現実を知ってもらうために、私の知っている範囲で教育問題について考えを述べたいと思います(あくまで個人的な見解で、主に学校関係者向けです。子育て世代の方は雑学的に捉えていただけたら幸いです)。
教育界の抱える問題5選
- 教員不足(教員は年度途中で、産休や病休、退職などで不足します。それを補う臨時採用教員が不足しています)
- 児童生徒の授業妨害行為(近年、ますますひどくなりつつあります。)
- モンスターペアレンツの増加(理不尽な要求をする非常識な保護者が増えています)
- 教員の長時間労働(定時退勤はかなり難しいと思われます)
- 不登校児童の増加(20年前と比べても数は増えていると感じます)
1 教員不足
以前の記事で紹介しました。教員人気の低下が主な原因です。
昔はかなりの人気職業でしたが、現在正規教員になろうと思えば、かなりなり易くなっていると思います。それは教員採用試験の倍率が低下していることを考えれば分かります。
来年(令和6年度)採用分の公立小学校教員採用試験の倍率は2.5倍前後です。東京都に関して言えば、約1.1倍。もう受験すればほぼ受かると思って間違いないですね。他県と併願している場合(例えば地元の県とか)、下手したら実質倍率は1倍を切っているかもしれません。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a241c2cc7442602fcdca106bfe9ca4b9c8a009a6?page=1
倍率は都道府県(政令指定都市)によって異なりますが、だいぶ倍率が下がっていることは間違いないようです。しかし中学校、高等学校の教科によれば、まだ倍率は高い場合があります。
マスコミのネガティブキャンペーンによる「教育現場=ブラック職場」というイメージが定着しつつあり、新たに教員を目指そうと思う人が減ったり、臨時採用教員をしながら毎年採用試験を受けている人が民間企業へ就職していったりしました。
盛山文部科学大臣が「教員不足問題」に名案はないと発言されましたが、正直な発言だと思いました。いわゆる特効薬はないと思われます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/81b18fa1361970f2ba57856575664b3edc46c313
一応、教員採用試験の倍率はまだ1倍を切っていないので、とりあえずは4月段階での定数は何とか足りるのではないでしょうか。
4月段階で採用人数が足りてないとすれば、相当まずい状況です。
4月当初に欠員がでる場合の理由3選
- 予想以上に採用辞退者が続出(企業に内定あるいは他県で合格とか)
- 人事の意向を提出する2学期中頃以降に退職する人が続出(精神的に継続は無理と判断)
- 病休、産休の大幅増加(精神的にキツイ、めでたく女性が結婚、出産されるなど)
以前の記事「教員不足はなぜ起こったの?」でも述べましたが、4月発表の教職員スタッフのまま、3月まで行くケースはまずありません。
年度途中の退職者(想定外)、産休・育休を取られる方、病休を取られる方など年度の途中で教職員が変わることは決して珍しいことではありません。むしろ普通です。
その際に、抜けた穴を補ってくださるのが臨時採用の先生です。この方たちのおかげで、途中で抜ける方がいても学校が回っていくのです。
解決策は・・・文科大臣に名案がないのなら、私に思いつくはずがありません。
が・・・それでも無理やり絞り出した考えた解決策4選(あくまで個人的見解)。
- 教育課程の内容を思いっきり減らし、毎日5時間授業にする(総合をやめるとか 文科省の仕事です)
- 全体での授業研究や研修をとことん減らし、先生方が本当にやりたい授業準備(教材研究)の時間を毎日確保する
- 中学校区に1人くらい教職員をモンスターペアレンツやパワハラ等から守る弁護士と契約する(契約料、相談料などは市町村が負担)
- 問題行動が多い児童・生徒を出席停止にするハードルを下げる(抑止力が必要)
教員不足は、早急に解決しなければならない問題です。産休を取られることは本来おめでたいことなのに、現場では「産休代替の先生が見つからないらしい」「空きコマがなくなるらしい」と手放しで喜べない現実が出てくるのです。
保護者の立場でも同様です。年度が始まり、〇年○組の担任になりました→妊娠が分かりました→3学期から産休に入ります→代わりの先生は来ません という事態に陥るのです。自分の子のクラスがそうなったら大変じゃないですか。
もちろん、その場合専科の先生か教務主任(主観教諭)が担任として代わりに入ることになると思いますが、当然玉突き事故のようなことが発生します。専科の行っていた音楽や理科、図工などの教科が担任戻しとなり、他の担任の先生の負担が増大します。
3学期の高学年は卒業証書授与式関連の大きな行事があったり、学習のまとめの時期であったりするので、空き時間(教材研究等)の確保がどうしても必要です。
このように教員不足は、教育現場全体にダメージを与える問題なのです。少しでも教職を志す人が増えるようになってほしいです。
2 児童・生徒の授業妨害行為
この事実は意外に知られていないのかもしれません。学校間格差が大きくなりつつある現在、学力が低めの学校に特に多いのが、授業を邪魔する児童・生徒です。
私の場合、小学校勤務だったので中学校の状況は詳しくわかりません。小学校では、中学年くらいから授業を妨害する児童が出てきます。発達障害かもしれないし、授業内容が分からなくてつまらなくなり、妨害行動に出るのかもしれません。
いずれにせよ、授業が成り立たなくなるくらいにおしゃべりをする子、勝手に発言して授業を混乱させる子、離席する子、教室を出て行ってしまう子、他の子とトラブルを起こす子などなど様々です。
それに対して、教員はもちろん注意をしますが、そのような児童は言い訳や揚げ足取り、反抗的な言動で教室全体を混乱させます。他の、授業をしっかりと受けたい児童もあきらめておしゃべりしだす始末。
優秀で厳しい先生は、そのような児童がそのような行動をとる前に、4月の時点で学級のルールをしっかりと定め、授業がしっかりと成立するような手段をたくさん取ります。少しの気のゆるみや怠慢、荒れなどを敏感に察知し、その都度指導を入れ、落ち着いたままでその年度を終えます。
しかし、そんな先生は全体の1〜2割ほどしかいません。ほとんどの先生は、授業を妨害するような児童に手を焼いています。そのような児童は、言い訳や揚げ足取りに長けていますから。
解決策①・・・あまりに酷い態度の児童は出席停止など、重い処罰を与える
小6のある優秀な児童の言葉を今でも覚えています。「あいつらと一緒の中学には絶対に行きたくない!」と。「あいつら」とはもちろん授業を荒らす子たちです。その子はもちろん中学受験をし、私立中学へ進学しました。
他の児童が落ち着いて授業を受けられるようにするためには、妨害する児童をそのまま放置するのはやはり良くないと思います。授業をもっと魅力的なものにしなければならない、という主張は間違いではありませんが、勤務時間内に授業準備の時間がほとんどないような状況で、それを言っても説得力がありません。管理職や生徒指導の先生が様子を見て抜き出すことは避けられないかと思います。
昔、中学校で産休・育休の代替教員として勤めていたことがありました。一部生徒がどうしても授業中落ち着いて授業を受けられないので、別室で話を聞いたり、簡単なプリントをやらせたりしていました。担任の先生からは、凄く感謝されました。
「授業を妨害する児童本人がとても困っている」というのはとても分かります。しかし、効率よく授業するために、最大35人から40人という大人数で一斉授業をやっているのです。他の児童の学ぶ権利を侵すのは、いくら児童であっても許されることではありません。
もし私の子どもが学校でそのようなことをしていたことが分かったら、精一杯謝罪して、子どもを強制不登校にさせます。学校へは行かせません、迷惑をかけないことを約束できるまでは。子どもの面倒は自分で見ます。例え仕事を辞めなくてはならなくなっても。親にはそのくらいの覚悟がなければならないと思います。
解決策②・・・授業の形態をタブレットを使用した、それぞれの学びの形にする(つまり、自主学習)。
一斉授業の形に限界を感じている先生は意外に多いのかなと思います。せっかく、一人一台タブレットが配付されたのですから、個別最適化した授業形態にするは一つの対策かなと思います。
一応、本日のめあて(目標)は与えて、自ら課題を解決するようにタブレットや教科書を使用させる。Webで調べたり、動画を観たりして課題を解決していく。最終的にレポートを提出させたり、簡単な確認テスト(Googleフォーム等)をさせます。そうすれば、授業を妨害するような児童も少しは授業に入ってこられるでしょう。もちろんタブレットで遊んでいる可能性は高いです。でも、他の子の学習権を奪うようなことは減るのではないでしょうか。
いずれにせよ、授業を妨害する児童の対応は、教員を守るためにも、他の児童の授業を受ける権利を守るためにも必要ではないでしょうか。
3 モンスターペアレントの増加
モンスターペアレント、嫌な言葉ですね。
この方たちの存在や言動がどれほど現場の教員を苦しめているのか。
もちろん、意見をいただくことは悪いことではありません。学級経営や学校経営の反省材料として、非常に参考になることがあります。
また、学校は外圧に弱いので、保護者の意見が学校の実践に影響を与えることがあります。言い方に気をつければ、必要な意見は遠慮なく伝えた方がいいです。
ただ、モンスターペアレントと呼ばれるような方の意見は、非常に自己中心的な意見が多いのです。また、教員が気を病んでしまうくらい攻撃的でもあります。
ここが問題、モンスターペアレントの特徴3選
- 過干渉…子供の失敗について、いちいち親が介入して解決しようとする。ある程度子どもに任せることができない
- 子どもの言うことだけを信じる…子どもは自分の都合の良いことしか言いません。本来、担任の先生に正確な事実関係を調査するようお願いすべき。
- 問題を解決しようという建設的な意見を出せない…学校にのみ要求を繰り返し、それ相応の対応を求める。
学校では、保護者の方の熱いご意見やトゲトゲしい抗議が連絡帳などに書かれていた場合、管理職に見せるようになっています。必要に応じて、管理職が「このように対応して」「このように連絡帳に書いて」と指示があります。
しかし、そのことが逆に相手を逆上させてしまうことがあります。知らぬ間に話が教育委員会に及んでいることもあります。
でも、心配いりません。教育委員会は学校の味方です。一応学校へ指導助言をする立場なので、「〇〇さんからこんな電話がありましたよ。対応をお願いします。」と校長に電話が入ります。すると校長はそのことを解決するために、教頭や当該職員に指示を出します。
元々、学校の教員が教育委員会の指導課や学務課へと人事で異動するわけですから、学校の内情もよく知っています。「ホント大変ですけど、対応をよろしくお願いします」という気持ちで電話してきます。
このモンスターペアレントに関しては、新採用、ベテラン関係なく対応はキツイです。そのような方は、「相手の立場を考えて」とか「子どもがいつもお世話になっています」とかいう気持ちがほとんどないような方ですので、自分の考えを通そうとだけ考えて連絡してきます。もう絶対私が正しいんだと。
解決策①・・・中学校区に1名、弁護士と契約し、いつでも相談したり、具体的なアドバイスを得たりできるようにする。
これはもうスクールロイヤーですよ。私は専門家ではないので、契約のことについて詳しくはわからないのですが、保護者が好き勝手に学校や学級担任にものを言える時代は終わりにしたいです。
法律に照らし合わせてみた場合、明らかに法律に反する行為があったら、弁護士が「それ以上言いますと脅迫罪に該当しますよ」と意見してもらうんです。このような事例が全国でたくさん集まり、マスコミによって拡散してもらえれば、日本全体での抑止力となるはずです。
学校はもう、教職員だけが管理する時代ではないのです。先ほどの、授業を妨害する児童でも対教師暴力があったとすれば、内々で収めるのではなく、きちんと警察に入ってもらうべきです。
教職員を守るのは、管理職や教育委員会だけではありません。警察や弁護士の方と協力して働きやすい環境にしていかなければなりません。
解決策②・・・教育委員会に入ってもらう。
「教育委員会に言ってやる!」と意気込んで電話しても、裏では学校と連絡を密に取っています。教育委員会という権力組織に入ってもらうことで、モンスターペアレントの心情も少しは収まるでしょう。
世の中には、教育委員会が学校を厳しく監視していると思っているところがありますが、決してそうではありません。教員の一応の出世の最終段階は学校長です。教育委員会の中でも、課長→部長→教育長はやはり出世の道かもしれませんが、かなりハードな役職なのでどれだけの教職員が目指しているかは不明です。
私は教育委員会の部長、課長、指導主事らが集まる会議に参加したことがありますが、みなさん穏やかで腰が低く、仕事ができる(と思われる)方たちばかりでした。
教育員会はとても大変な仕事をされる組織です。皆さん、非難ではなく、感謝と尊敬のまなざしを向けてあげてください。そして、学校関係者は学校現場に都合よく介入してもらってください。学校現場から離れて残念がっている方が多いので、現場に来ることはそんなに嫌がらないと思います(それでもトラブル解決はやっぱり嫌でしょうね…)。
4 教員の長時間労働
これは今盛んに言われていることで、このことが教員の不人気の一番の要因でしょう。
教員の長時間労働は本当に問題です。ただ、まず、小学校と中学校を分けて考えなければなりません。中学校には部活動があります(小学校にも期間限定の水泳部とか陸上部とかある場合があります)。
私は中学校に1年ちょっと臨時採用で勤務したことがあり、部活動も結構頑張った経験があります。土曜日の午前中は練習で、練習試合で他校へ行くこともありました。部活動は教育問題でも別の分野で、私は持っている情報が少ないのでここでは扱いません。すみません。
20年間勤務した小学校での長時間労働について原因を考えます。
教職員の長時間労働の原因(個人的見解)
- 物理的に授業準備の時間が取りづらい
- 会議や研修の時間が毎日のようにある
- 多くの教科を教えるため、時間が足りない
- 校務分掌の重い仕事を持っている人は、資料作成に時間がかかる
- 教頭、主幹教諭(教務主任)はもっと長時間労働になるほど仕事が多い
①「物理的に授業準備の時間が取りづらい」
よく言われることです。
教職員の勤務開始は何時かご存じですか?だいたい8時15分〜8時30分です。学校によって変わります。児童の登校時間はご存じですか?だいたい7時45分〜8時10分くらいです。こちらも学校によって異なります。
つまり、子どもが登校してくる時間にはまだ勤務が開始されていないのです。おかしくないですか?これは全国的に普通のことで、教職員は自主的に児童が登校する前に出勤しているのです。私は担任をしていた時は、7時50分から児童が登校してきたので、だいたい7時40分までに学校に着くようにしていました。
勤務開始前は子どものためにボランティアで来ているのです。フレックスタイム制があればどんなに良いか…。このことはX(旧Twitter)でも多くの方が言っていた内容で、公然の事実です。
放課後もです。「労働基準法第34条で、「労働時間が6時間を超え、8時間以下の場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は、少なくとも1時間の休憩を与えなければならない」と定めています。
教職員の勤務時間は7時間45分です。休憩時間は45分です。では、どこでこの45分の休憩時間を取っているのでしょうか。
正解は、放課後です。給食時ではないのです。給食時は、給食指導中なんです。何か問題があったら、すぐに対処しなければなりません。
6時間授業で、児童が下校するのはだいたい15時20分から30分くらいでしょうか。しかし15時30分くらいから休憩時間が始まってしまいます。それが終わるのが、45分後の16時15分。どうしてそんな時に休憩時間を取るのか。それは、その後に30分程度の会議や部会、打ち合わせを入れられるようにしているのです。16時20分から会議が始められたら、16時50分の退勤時刻まで30分の会議ができます。
児童の下校はそんなにスムーズにはいかないので、たいてい少し遅くなります。退勤時刻までほとんど余裕がありません。ですから教職員は休憩時間をほぼ取らずに、そこで必要な採点、ノートチェック、授業準備などの仕事をします。
全く時間の余裕などありませんよね。ですから物理的に授業準備の時間が取りづらいのです。
②「会議や研修の時間が毎日のようにある」
①でも取り上げた休憩時間の後、予定がたいてい入ってます。職員会議、校務分掌の部会、生徒指導、特別支援の報告会や研修、研究委嘱関係の研修、その他、多くの会議や研修が入れられています。リフレッシュデー(定時退勤日)が設けられている場合、その日には何も入ってないことがあります。
これじゃあもう、何もできないですよ。多くの先生方が一番したいのは、授業準備(教材研究)です。その時間がほぼ無いのですから、残業はありきの職場ということが分かるかと思います。
子育て世代は、保育園の迎えや子どもの世話で早く退勤しなければならないことが多いです。その場合、教材研究などは持ち帰っていると思います(成績処理はダメです)。
私はよく、児童が持っている教科書と同じものを教材屋さんから個別に購入し、家に置きっぱなしにしていました。それで教材研究をしました。パワーポイントやワードなどの資料も家で作成していました(子どもが寝ている夜11時から深夜1時頃)。
③多くの教科を教えるため、時間が足りない
小学校は、基本的に全教科を担任の先生が教えます。しかし、加配の先生がいるため、音楽だとか高学年の理科は専科の先生が持つことはあります。
国語、算数、社会、図工、総合、道徳、学級活動など準備(教材研究)が必要な教科があります。まとめて準備したり、経験上準備があまり必要でなかったりするので、一概には言えませんが、国語や算数、社会は特に準備が必要かと思います。
中学校なら1時間の準備で何クラスかを同じ内容で教えるので効率がいいですが、小学校は授業をしてしまったらそれでおしまいです。明日はまた別(次)の授業があります。
学年で教科の準備を少なくするため、得意な教科を別のクラスでも教えるという形をとっている場合もあります。
いずれにせよ、いくつもの教科を教えるため、準備の時間が常に足りない状態です。
④校務分掌の重い仕事を持っている人は、資料作成に時間がかかる
学校はできる先生に仕事が集中しがちです。特に大切な校務分掌はその傾向が強いです。生徒指導部、体育部、特別活動部、研修部などの主任は仕事が多い傾向があります。また、最近は情報教育部も仕事が増えています。
職員会議で提案をして、それが通ったら実際に計画通りに行います。
学校の仕事の流れからして、基本は昨年と同じような流れで、昨年度の反省を取り入れ、微修正くらいで提案していくのが効率が良いかと思います。
また、部会の中で提案する人を主任以外がどれだけやれるか(分担できるか)で、大変さが変わってくるのだと思います。ただ教育委員会依頼の報告書やアンケート等の提出は結局主任がやらなければならないので、負担が大きいのは変わりありません。
⑤教頭、主幹教諭(教務主任)はもっと長時間労働になるほど仕事が多い
教務主任は学校の教育課程の管理を行う主任で、管理職のように思っている人がいますが、管理職ではありません。普通の教員が校長からお願いされ、普通に受け持つ主任の仕事です。基本的に担任を持ちませんが、授業はします。管理職のような仕事もするので、抱える仕事は膨大です。勤務時間も長くなりがちです。
病休に入る先生の代替教員が見つからない場合、真っ先に白羽の矢がたつのも教務主任です。私も2週間弱6年担任の代わりをしたことがあります。また、年度初めの職員会議での提案の量は半端なく、できればなりたくない役割です。
主幹教諭は、管理職ではないけど、教頭先生になるための管理職試験を受けて通っている人がなります。教務主任をやることが多いです。主幹教諭自身には人事権がないので、玉突き人事で年度途中にもかかわらず、急に教育委員会の指導主事になられた方を2人知っています。
教頭(先生)は、学校で一番大変な役職です。校長(先生)と二人で管理職となります。大規模校には2人配置も珍しくありません。学校施設の修繕等を受け持つ工事関係の業者さんやPTAの方との連絡役や教員の指導助言等を行い、教育委員会への報告は山のようです。とにかく仕事量は膨大です。教育現場ではなり手が少なく困っています。
解決策・・・無駄な会議や研修をやらない
もうこれしかありません。無駄な会議や研修を無くして、授業準備(教材研究)にもっと時間がさけるような職場になって欲しいと思います。
研究委嘱に関しては、別の機会でもふれますが、もうやらなくてもいいのではないかと思います。そんなものより、普段の授業準備に力を注いだ方が、児童のためになると思います。とにかく勤務時間内に研修で話し合っている時間なんかはないからです。あるとしたら、夏休み期間だけです。
5 不登校児童の増加
不登校の児童は、最近増えていますよね。「無理に学校行かなくてもいいよ」本人の気持ちを最優先、「インターネットがつながれば、様々な学習方法があり、遅れつつある学校教育、非効率である学校教育よりうんといいよ。」などと、不登校をアシストする流れもあります。
:昨年度の不登校最多3万843人 コロナ禍生活の変化影響か:地域ニュース : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)
不登校にも2種類あって、
A 積極的不登校(学校に行くことに価値を見出せず、自宅で勉強したり、独自のコミュニティーに参加し、人間関係能力を培う)
B 消極的不登校(学校には行きたいけど、嫌な気持ちが先行してしまい、どうしても行けない。そのため、同世代の子たちとのコミュニケーションが取れなくなっている)
ここでは、Aの不登校児童はたくましく生きていけて大丈夫だと思うので、Bの消極的不登校について考えます。
不登校児童が増加し続けている原因(個人的見解)3選
- 対人関係がうまくいかない児童が増えた
- 日本の社会構造と学校文化がミスマッチを起こしている
- 不登校であっても学べる環境が整いつつある
①対人関係がうまくいかない児童が増えた
対人関係がうまくいかない児童が増えたというのは、教職経験上正しいと思います。人間関係は自分の気持ちや考えを押したり引いたり、つまり折り合いをどうつけるかが大切です。自分の考えを押しまくっても周りから反発を買って孤立します。逆にうまく自分を出さないと我慢ばかりでストレスがたまります。
集団の中で、どのように自分を出したり引いたりして、自分の居場所を作るか、これは、生まれてからの少ない経験値で決まってきます。もちろん持って生まれた気質や性格、家庭環境が大きく関わってくるでしょう。
我が子育ての師匠、佐々木 正美先生は著書の中でこのように述べております。
不登校をしてひきこもっている子どものなかには、自分の考えや気持ちを、自由に表現することができない子が少なくありません。人との関係が苦痛で、恐れやストレスを感じるのです。そのなかには、親との関係も含まれています。私が知るなかで、親とのコミュニケーションがうまくいっているのに不登校になっている子はいません。
コミュニケーションというのは、単なる会話ではなく、心と心を通わせあうことです。不登校の子たちは、人を信じる力や自尊感情、自己肯定感といったものが欠けています。自分に自信がもてないし、人といっしょにいてやすらげないのです。
本来であれば、人といきいきと交わる感性は、幼児期に自分の親との間でつけていくことで育っていくものです。小さいときからお父さんお母さんが十分に相手をしてやり、そばにいてやることで安心し、親を信頼することができると、子どもは人のことも信頼できるようになります。それが、コミュニケーション能力になっていくのです。
「抱きしめよう、わが子のぜんぶ」 著者 佐々木 正美 発行 大和出版
この本は初版が2006年で、今から25年以上前の本なので、少し今の不登校事情とずれがあるかもしれませんが、多くの不登校児と関わってきた佐々木先生の見解なので、きっと参考になるところがあるでしょう。
不登校に関して言えば、その学校の環境よりも生まれてから数年の親子関係が関係しているということです。不登校のお子さんを持つ保護者の方は憤慨するかもしれませんが、自分と子どものこれまでの関係を振り返り、今後の関わりに活かすことが必要だと思います。
ちなみに佐々木先生は不登校になった時には、「親の前でゆったりとくつろげる雰囲気をつくてください」(P28)と言っています。
教育問題のまとめ
5つの教育問題を取り上げましたが、なかなか解決は難しそうです。
特に、1つ目の「教員不足」は深刻で、2つ目の児童生徒の授業妨害行為、3つ目の「モンスターペアレンツの増加」、4つ目と「教員の長時間労働」と大きく関わっています。
よく「教員を増やせ」という意見がネット上に上がっていますが、検討の余地大です。
まず、臨時採用の教員が大量採用されれば、当然臨時採用の方が減ります。そうすると、保留学級を持ってくださる先生や産休・育休、病休の補充に入る先生もいなくなります。教員の質自体も下がるかもしれません。
また、教育の予算で大部分を占めるのは人件費です。1人正規採用が増えると1人当たり500万円を超える額が必要となります。よく「支援員を配置する」とか聞きますが、低予算で午前中の教室にいる大人が増やせるので、活用しているだけです。社会保険料を払いたくないので、週4回で4時間勤務とか、わけがわからない勤務条件です(空白の1日)。現場の先生も活用が難しいでしょう。
予算の額は急に増えたりしないので、どこかの予算を削ってこなければなりません。どこの予算を削るというのでしょうか。どこも予算を欲しがっています。難しい問題です。
私の個人的見解では、教育問題を解決する最も良い思われるのが、学習指導要領の抜本的な見直しです。それで、全体の仕事量をうんと減らさなければ、教員不足はまず解消されない問題として残るでしょう。文科省の英断にかかっていると思います。もう現場でやれること働き方改革はほぼ残っていません。