「教育についてもっと知りたいけど、どんな本を読んだらいいの?」
お子さんが小学校入学を控えて、「教育に関して書かれた本でも読んでみようかな。」と思って、「多すぎてどの本を読んだらいいのかわからん・・・。」って、本屋さんで困ったことありませんか?
わかります。教育の本ってその人の状況、周りの環境や経験によって大きく変わってくるので、「何を信じたらいいの?」とつっこみたくなりますよね。
最近だったら、「やっぱりプログラミングが大事かな?」「いやいや英会話だよ。」「間違いなく主要教科の国・算の基礎学力だよ。」
そりゃ、いろいろ迷いますよね。教育に関しては、幅が広すぎるので、「これを読んでおけば教育はバッチリ!」という本を見つけることはかなり難しいです。
私は少しでも興味がある本なら、基本買ってしまいました。「はじめに」と「目次」を読んで、一番気になるところを読んで、面白い!と思ったら全体を読みます。
そして「これは良い本だから、残しておこう。」と思ったら本棚行きです。「もう読まないだろうな。」と思ったら、ブックオフ行きです。さらに、その方(著者)が書いた別の本があれば、Amazonでポチります。ですから、本は溜まる一方ですね。
そんな中で、私が今まで読んできた本の中で、個人的に大好きで、「いい考えだな」思う、素敵な教育者(著者)を紹介します。
私の教育観に大きな影響を与えてくれた方々です。
- 第3位は・・・公文 公(くもん とおる)先生
公文 公 先生は公文式の創始者です。
私は公文式の学習を支持しています。教員だった頃からずっとです。
公文式は算数・数学で言えば、基本的な計算問題をひたすら反復する学習します。
「IT全盛の今の時代に全く合わないのでは?」という気がしますが、私はそう思いません。
公文式をやった方が良い3つの理由
- 基礎学力はとにかく詰め込みが大切だから。(ほぼ100点取れるようになって、初めて習得できたといえるんです、基礎なんですから。)
- 学年に関係なく進めるから。(できる子は上の学習をどんどん学習していける。)
- 基本教えないから。(間違えた場合、ヒントは出すそうです。)(「えっ教えないでできるようになるの?」と思う方多いと思います。公文の教材には例題があって、それをヒントに学習を進めていきます。つまり教材の力で伸びるのです。)
習っていると起こりうる3つのデメリット
- 反復練習が多すぎて嫌になってしまう。(やる目的を伝えたり、ご褒美で釣ったり、誉めまくったりして何とか続けさせましょう。)
- 通えるのはほぼ平日の夕方〜夜のみ(共働きで、保育園や学童に6時半ごろに迎えに行くような家庭は公文式を始めるのはかなり難しい。)
- 宿題が結構多い。(家でも反復練習の問題をひたすらこなさないといけません。)
学習というものは、基本的に自学自習が最強だと思っています。ただし、分らないときにはすぐに聞けたり、調べられたりする環境は必要です。
私が最近、教職の現場で感じたことは、最近の児童は「基礎の習熟ができていない」ということです。このことに関しては、後日詳しく説明します。
とても忙しい今の学校現場で基礎の習熟を期待するのはかなり難しいです。学力が低めかなと思ったら、公文式に頼りましょう。
公文先生の考えが詰まったこの1冊を是非読んでみてください。
- 第2位は・・・隂山 英男 (かげやま ひでお)先生
陰山 英男先生は100マス計算で有名になった方です。2000年にNHKの「クローズアップ現代」に取り上げられ、一躍有名になりました。
そもそも100マス計算は「学習の基礎をきたえ、落ちこぼれをなくす研究会」の岸本 裕史先生が中心となって考え出した独自の計算習熟ツールです。これを学力向上のために採用したのが隂山先生だったのです。
私は隂山先生の基礎学力を高める考えに賛同しています。
一時期学校現場で、百ます計算が流行ったことがありました。その頃は、多くの教室で百ます計算を行っていました。しかし、今現在は文科省が求める子どもの学力というものが変化し、基礎基本を徹底的に鍛える教育スタイルは敬遠されがちになりました(もちろん今でも百ます計算などは行われていますが)
公文さんと同様に、基礎学力の定着に力を注ぐことが大切であると説いています。
隂山先生の素晴らしい3つの実践や考え
- 子どもが伸びることをとにかく第1に考えて行動(教育)してきたこと。(百ます計算以外にも学力を伸ばせそうなことを次々に実践してきた)
- 「親はどしどしと子どもに関わるべきであり、時には押し付けてもかまわないのです。」という信念(自分の娘に「東大に行け。おまえならできる。」といって結局行かせてしまった。)
- さりげなく時代の流れに乗り、柔軟に対応していること。(常に人生をアップデイトしています。あの隂山先生が「今や筋トレは成功と幸せの必須項目」と言っているのですから。)
以下の本2021年6月に発行された、比較的新しい書籍です。隂山先生の素晴らしさを堪能できるのではないでしょうか。
- 第1位は・・・中室 牧子 先生
中室先生は、「学力の経済学」という教育書としては異例の大ヒット書籍を書かれた教育経済学者です。現在慶應義塾大学の教授です。(書籍を出版したころは准教授でした。)
この「学力の経済学」という本は、林修先生が「日本国民全員が一冊持つべき」と紹介したほど、特に子育てをしている方や世代や教育に関わる仕事をしている方には必ず読んでおきたい必読書中の必読書です。
私はこの本を読む前に、とある研究発表会の後の教育講演を拝聴させていただきました。
最初「やけに早口な方だな。」とくらいにしか思っていなかったのですが、その内容にどんどん引き込まれ、最後まで「一字一句聞き漏らさないぞ!」と思えるほど、全集中で聴きました。
その講演の後、本屋でこの「学力の経済学」を購入。一気に読み込みました。非常に面白かったです。職場でも紹介しました。
中室先生の御専門の「教育経済学」とは、教育を経済学の理論や手法を用いて分析することを目的としている応用経済学の一分野だそうです。
教育は誰もが必ず受けているため、すべての人が一過言ある「評論家」になってしまいます。「私の経験から~」と言われても、完全に同じ経験ができることは不可能だし、例え同じ経験を与えられたとしても、同じような結果になりません。
そこで、客観性のある事実、つまり科学的な根拠を得るために実験を行います。実験とは、決して理科の実験とは限らないんですよね。
実験とは、「自然および社会のさまざまな現象や行動を対象とし、その仕組みや法則性を解明し、対象をより深く認識する理論的な活動です。」
その中でも有名な実験、「マシュマロ実験」というものを紹介します。
マシュマロ実験は、1960年代後半から1970年代前半にかけてスタンフォード大学の心理学者・ウォルター・ミシェル氏が実施したもので、マシュマロを使って子どもたちの自制心と将来の社会的成果の関連性を測ろうとしました。
スタンフォード大学で行われたマシュマロ実験には、4歳の子どもたち186人が実験を受ける立場として参加しました。子どもたちは一人ずつ、マシュマロ1個と机とイスだけがある部屋に通され、実験者は「私が帰ってくるまでの15分の間、マシュマロを食べるのをがまんしたら、マシュマロをもう1つあげるよ」と子どもたちに告げて部屋を去り、その後の子どもたちの行動を観察しました。
その結果、実験者が戻ってくるまでがまんをして2個目のマシュマロを手に入れた子どもは約3分の1くらいでした。この実験を受けた子どもを追跡調査した結果、マシュマロを食べなかったグループは後の人生でより成功を収めているとされたことが判明しました。
このように経済学でいう実験とは、無作為で選んだAグループ、Bグループを対象に、ある政策を行い、数十年の追跡調査によって後の変化を調べるのです。そのことで、その政策がどのような効果をあげるのかがはっきりとわかるのです。
以上のことから、「教育」の分野において、ある人物の知識や経験のみで語られてきたことを、科学的な実験によるデータ(エビデンス)を用いて証明するということを日本に紹介した、まさにパイオニア的存在が中室牧子先生です。
この方の著作がもっとあれば、読み込んで紹介したいのですが、今はまだ少ないので、YouTube動画の検索で「中室牧子」と入力し、いろいろな動画を見てみることをお勧めします。中室先生の教育にかける情熱を感じ取れるはずです。
その時、あなたはすでに中室牧子先生のとりこです。
中室先生は本気で教育を変えようとしています。首都圏の知事や教育長と協力し、外国で行われているような教育実験を現在も進行しながら、データを取得中でしょう。
国会でも自身の研究の成果を発表し、教育政策に生かそうとしています。税金を費用対効果のできるだけ高い分野に効果的に使うためです。
生まれや育ちなどの環境は、教育に大きな影響があることも科学的に証明されています。中室先生は、「その事実は変えられないが、国がこの格差を是正するような政策をとらなければならない」と考えています。「教育における格差是正」を真剣に行おうとしているのです。
もう尊敬の対象でしかありません。
ブックオフさんの広告です。本を整理するのにお世話になっています。