子育て

子どもの能力は遺伝、それとも環境?

子どもの能力って、結局遺伝なの?環境なの?『親ガチャ』って流行ったけど、結局のところどうなの?

子育てをしていると、「この子にはどんな素質があるのかしら。」「この子の才能をできる限り伸ばしてあげたい。」と考えませんか?

わかります。私も二児の父。「子どもの才能・能力をできる限り伸ばしてあげたい。」「将来はもって生まれた才能を生かした職業についてもらいたい」と常に考えています。

結論を言います。子どもの能力はほぼ遺伝で決まります。

「じゃあ、最初から遺伝で決まっているのなら、努力しても無駄って言うこと?」

「いいえ、そういうことではないんです。努力や環境は大切です!

最近の研究によって、人の能力がかなりの割合で遺伝の影響を受けていることが分かってきています。

人がどれだけ遺伝の影響を受けているのかを研究している学問を「行動遺伝学」といいます。その研究の第一人者の安藤寿康(あんどうじゅこう)先生の著書では、このようなことが書かれています。

才能には遺伝がかかわっていること、収入にも遺伝がかかわっていること、才能に気づき育てるには経験と教育が必要であること、しかしそれはいまの学校教育の中で必ずしもできるわけではないこと、それは知能や学力に遺伝の影響が大きいからだということ、学校は遺伝的な能力の個人差を顕在化させるところだということ、でもこの世の中は学力がすべてではないこと、学力とは異なる遺伝的才能を生かした人たちでこの世界は成り立っていること、才能のないところで努力してもムダだということ……。(P3,4はじめにより)

「日本人の9割が知らない遺伝の真実」 SB出版

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「はじめに」の部分からの引用でしたが、この本で安藤先生が伝えたかったことが凝縮されているような気がしました。

つまり、人の才能は遺伝の影響が高く、環境でその遺伝的要素が開花するか否かが決定される、というのです。

例えば、身長や体重などは9割くらいは遺伝で決まります。さらに、音楽やスポーツの才能は8割以上です。

音楽は9割以上ですから、私のような音楽的才能がないものは、あるものから音楽の素晴らしい楽曲、演奏、歌唱を提供していただいて、楽しんでいるしかありません。

また面白いことに、環境の要因は家庭や家族(共有環境)よりも友達や他人、本や動画等(非共有環境)の方が影響力が高いようです。

ただ、遺伝に関してはかなり誤解されやすいので、注意が必要です。

例えば、両親が非常に頭がよかったら、必ずしもその子どもが頭が良いとは限らないそうです。そう、両親の遺伝子がどのように子に伝わるか、ばらつきがあるのです。さらにその伝わり方は、より平均に近づくように遺伝されるそうです。

仮に、両親の頭のよさを10ずつとすると、子どもの頭の良さは、だいたい9ぐらいになるそうです。もちろん、10かもしれないし、8,7かもしれない。平均が5くらいとすると、少し平均に近くなるように(下がるように)遺伝されるそうです。

逆に、両親が3くらいの頭の良さだったら、その子どもはだいたい4くらいになるということです。つまり上がるということです。

このため、両親がトップアスリートだとしても、両親を超えるような競技の才能を持つ可能性はそんなに高くないようです。

ただ、これもばらつきがあるので、さらに凄い才能をもって生まれてくる可能性も否定できません。凡人同士の両親からもすごい才能の子が出てくる可能性もあります。

この遺伝の事実を知ると、「結局成功できるかどうかは遺伝かよ、やってらんねー。」と非常に悲観的になりますよね。「親ガチャは正しいんだ・・・。」とか。

しかし、見方、考え方を変えましょう!この事実は、努力を重ねても重ねても結果が出ない人への『救い』となり得ます。

頑張っても頑張っても成果が出ない場合、「お前の努力が足りないんだ!」と言われたら、へこみますよね。「もう十分努力してきたんだ!でも駄目だったんだ!」と反論したくなります。

でも、このような場合は、「自分には才能が足りなかったんだ。遺伝だから仕方がない。」と割り切れますよね。

寿康先生の言葉、「でもこの世の中は学力がすべてではないこと、学力とは異なる遺伝的才能を生かした人たちでこの世界は成り立っていること、才能のないところで努力してもムダだということ……。

これが最も伝えたいことなんじゃないかな。「早い時期に自分の才能の有無を見極め、自分が才能ある分野で、効率の良い努力をすべきではないか。」

また、「勉強に向いていない子に、無理して勉強させなくてもいいんじゃないかな。勉強ができなくても成功している人は山ほどいるよ。」と今の社会で言いづらいことを言っているんだと思います。

学力は50~60%くらいの遺伝率があります。(中略)学力の場合、さらに20~30%程度、共有環境(※親が与える家庭環境)の影響が見られます。つまり、学力の70〜90%は、子ども自身にはどうしようもないところで決定されてしまっているのです。

「日本人の9割が知らない遺伝の真実」 SB出版

この遺伝の影響について詳しく知ることは、子育てや教育を考えるのに必須項目だと思いますが、どうでしょうか。

ABOUT ME
kodomokoukoushiyouze
元凡人小学校教員。長男の小学校入学を機に、勧奨退職(早期退職)。多くの子育て本、教育本から得た知識と20年超の教職経験、子育て経験から『主に10歳くらいまでの子育て世代』へ向けて『子育てや教育』に関する情報を発信していきます。
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